この本は、現役トレーダーであり、銀行やファンドマネージャー向けなどの金融のプロに、トレード心理学に関するセミナーや研修プログラムを行っている、マーク・ダグラスさんが書きました。
FXサークルSurgeや、ブログ上でも、この本がいいという方が多い本です。
トレードの心理学ということで、自分にはあまり必要ないのかな、と思っていて先送りしていたのですが、読んでみたら、今の自分に必要な内容でした。
スイングトレードやスワップ運用をしていた時はほぼルール通りに売買できていたのですが、スキャルをやりだしてから、かなりブレが生じていました。短期売買の方が、心理の影響が大きいのかな、と感じていたところでした。結果がすぐにでるので、よくも悪くも、短時間に感情が大きく変化しやすいです。
『何事も起こり得る』というのがよかったです。
検証の結果では優位性が確認できているのに、実践では連敗が続く、というのはよくあります。常に検証では想定していない事象が相場では起こり得ると思うのが、一番楽になれるのかなと感じました。
『とにかく決めた標本の数まではルール通りトレードする』、というのもよかったです。
確かに一定数はルール通りに売買できそうです。著者は20回を推薦しているので、今後の目安になると思いました。
ここ1年は、主に短期売買の検証と実践をしてきました。
とくにここ1か月くらいから、パフォーマンスが安定してきています。
安定しているのはいいのですが、今度は、このまま本当にこのパフォーマンスが続くのだろうか、と不安にさいなまれてしまいます。いいはずだ!と思っていても、少し連敗しただけで気分は落ち込んでしまいます。
トレードに必要な3要素(資金管理、方法、心理)のうち、資金管理と方法はいい水準まで来ていると思います。後は心理面の対処かな、と思うこの頃です。
少しずつよくしていきます。
書名 :ゾーン 〜「勝つ」相場心理学入門〜
著者 :マーク・ダグラス
訳者 :世良敬明
出版社 :パンローリング
読む目的:自分の心理的弱点を把握し、対応する。
ページ数:334
所要期間:5日
『心に響いた言葉/文面は本文より引用・編集』
・マーケットについて理解した内容と、その知識を一貫した利益や堅調に上昇する損益曲線に反映させる能力との間には、大きな格差があるのだ。
・犯しがちなミスのうち95%は、間違い、損失、機会喪失、利食い失敗に対する自分の姿勢から生じる。
・総じて成功するには、技術が必要だ。
・トレードに負けて、損をする可能性は常にあるのだ。
・結果の不確実さは、トレードの冷たく厳しい現実である。
・客観的になれず、自分の行動を常に信頼できないのであれば、一貫した成績を残すのはほとんど不可能である。
・負け続ける人間は、たいてい、トレードがどのように良く見えても負ける可能性があるという現実を受け入れず、逃避する。
・一貫性を確立したいのであれば、結果が何であれ、完全に自分に責任があるという前提から始めなければならない。
・マーケットには同じ行動パターンが、何度も何度も繰り返し現れる。個々のパターンの結果がランダムであるにしても、一連のパターンの結果は一貫している(統計的に信頼できる)。
・私は、市場分析と翌日のトレードの準備に何時間もかけておきながら、実際に自分の計画したトレードを仕掛けずに、別のことをしてしまうトレーダーを数多く知っている。
・軽率なトレードと、恐怖心によるミスの排除が、一貫した収益の達成を可能にしているのだ。
・ほとんどの損失の原因が、浮かれているときの間違いや損失、軽率なトレードを犯す姿勢と信念にある。
・ただ直感的に行動、反応する。選択肢は検討しない。結果は気にしない。悩まない。ただ、その瞬間に「するだけ」なのだ。
・トレードの不思議な矛盾は、自分のトレード歴が勝利で始まった場合、この勝つ姿勢の副産物である無心状態を、そうした姿勢を育まなくても自動的に経験できるところにある。
・自分に有利となるような機会が無制限に提供されている状態で、最大の優位性をつかむ方法は、流れに乗ることである。
・マーケットには行動パターンがあり、そのパターンは繰り返される。しかしいつもではない。つまり損失や負けを避ける方法はないのだ。
・つまりトレーダーの分析ツールは、ゲームのルールがカジノ業者に勝算をもたらしているのと同様、トレードに勝算(優位性)をもたらす既知の可変要素なのだ。
・トレードを仕掛けた場合、マーケットが自分の思惑どおりに展開するが、あるいは不利に展開するかを決める要素は一体何か。そう、答えは「他のトレーダーたちの行動」だ!
・各優位性の不確実性と各瞬間の唯一性を完璧に受け入れられるようになったとき、トレードへの欲求不満は消える。
・自分の規則に厳格であり、自分の期待に柔軟でなければならない。
・トレードに適した確率的心構えは、次の5つの根本的真実からなる。
@何事も起こり得る。
A利益を出すためには、次に何が起こるか知る必要はない。
B優位性を明確にする一定の可変要素には、勝ち負けがランダムに分布する。
C優位性があるとは、あることが起きる可能性が、もう一つの可能性よりも比較的高いことを示しているにすぎない。
Dマーケットのどの瞬間も唯一のものである。
・トレードを単なる確率のゲームだと確信したとき、正解・不正解の概念と、勝ち負けの概念は、もはや同じ意義を持たなくなる。
・優位性とは、単に一つのことがもう一つよりも起こる可能性が高いことである。
・満足感を経験していないのであれば、環境の状態に対して、あまりうまく機能しない(ひとつの、あるいは複数の)信念を用いているに違いないのだ。
・確率の本質をしっかりととらえた結果、次のトレードは確率的結果を持つ一連のトレードの中の、単なるもう一つのトレードにすぎないと「知って」いる。ところが、依然として次のトレードの実行を恐れているのがわかる。
・日常生活だけでなく、マーケットのなかにも常に自分が知っている要素(類似したもの)と、まだ経験していないので知らない(あるいは分からない)要素がある。
・トレードを最も簡単な形で説明せよと聞かれたら、パターン認識の数字ゲームだと答えるだろう。
・一貫した結果とは、「優位性が働かないときの当然の結果であるドローダウンを最小限に抑えた、安定した右肩上がりの損益曲線」と定義している。
・一貫した結果を残すには、ミスの排除が重要な役割を果たす。
・ミスは、自分の成長と向上のため、精神集中するべきところへの方向性を示す糧でしかない。
・目的が明確になればなるほど、自分の思想・発言・行動に注意を向け始めるはずだ。
・利益を得る方法にフォーカスする。⇒利益がでる。
・本当にリスクを受け入れた状態とは、精神的不快感や恐れなしに、自分のトレードの結果を受け入れることである。
・「今この瞬間」にある機会は、前回のトレードとは明らかに何の関連もないからである。単に優位性に賭けているのであって、それぞれのトレードは他のトレードとは統計的に独立している。
・トレーダーの基本的目標の一つは、機会の認識であって、苦痛の脅威を認識することではない。
・「その固有の性格を表現しようとしてマーケットが発している情報は、プラスもマイナスも帯びていないという事実を理解してほしい」。情報がプラスやマイナスを帯びているのは、唯一自分の心の中だけである。
・私たちの心は、外にある情報を、すでに心の中に知っているものとして連想してしまう。
・トレードの本質に秘密となるものがあるとすれば、以下の能力がそうだ。
@恐怖心や過信なくトレードを執行する能力。
Aその観点から、マーケットが提供しているものを認知する能力。
B「今この瞬間の機会の流れ」の中で完璧な集中力を維持する能力。
C自然に「ゾーン」へと達する能力。
・最高のトレーダーは、わずかな疑いも心の葛藤もなく、「何事も起こり得る」と信じ切るところまで成長している。
・ホテルやカジノの主な機能とは何か。それは、純然たるランダムな結果を生む事象から、一貫した収益を生み出すことなのである。
・カジノのオーナー、経験豊富なギャンブラー、そして最高のトレーダーは、「自分に勝算があり、それを裏打ちする標本が十分にある場合、確率的結果を生む事象は、一貫した結果を残す」ことをよく理解している。
・個々のプレーが個の事象であり、その結果は前回のプレーや次回のプレーとはランダムな関係にあるのだ。ここのプレーに注目すれば、勝ち負けの分布はランダムで予測不可能である。しかしそのプレー回数が一定数に達すれば、そこから現れるパターンは一貫し、予測不可能な統計的に信頼できる結果となって現れるのである。
・ミクロレベルでゲームの不確実性を信じ、同時にマクロレベルでゲームの予見性を信じる。
・一貫した収益を残すために、次に何が起こるか知る必要はないのである。
・こうした集団的行動パターンを発見し、判断するために利用できる分析ツール。
・機械的売買の唯一の目的は、自分を一貫して成功するトレーダーに変身させることである。
・私は、一貫した勝者である。なぜなら、
@私は自分の優位性を客観的に確認している。
A私は全てのトレードでリスクを前もって決めている。
B私は、完璧にリスクを受け入れている。あるいはトレードを見切ることをいとわない。
C私は、疑念も躊躇もなく、自分の優位性に従う。
D私は、マーケットが可能にしてくれた勝ちトレードから利益をつかみとる。
E私は、ミスを犯したことへの自分の対応を継続的に監視している。
F私は、こうした一貫した成功の原理の絶対的必要性を理解している。したがって、けっしてそれを破らない。
・客観的になるとは、いかなるマーケット情報も、苦痛あるいは自己陶酔の観点から定義、解決、したがって認識する可能性がないとういう意味である。
・客観的になるには、自分の期待を中立に保つ信念を利用し、常に未知のフォースを考慮しなければならない。
・矛盾した信念の非活性化は、時間が解決するのではない。集中した願望が重要なのである。
・リスクの最も低いトレードは、成功率が最も高いとき、つまり上昇トレンドでの押し目(支持線)で買う、あるいは下落トレンドでの戻り頭(抵抗線)で売る時に生じる。
・主要トレンドの定期の仕方は、高値を更新し、安値を切り上げている状態であれば上昇トレンド。
・日足の形成するトレンドは、30分足の形成するトレンドよりも意義がある。
・日足が下落トレンドであれば、30分足で戻りを描きながらもそのトレンドの釣り合いを崩さないポイントはどこか決めておくことである。
・信念の目的が一貫的な勝利にあるのであれば、その信念と一致する経験を築かなくてはならない。
・まず、勝ちトレードでマーケットは自分の思惑の方向にどこまでいくのか決して分からない、という基本的前提がある。そしてマーケットはめったに、一本調子で上昇したり下落したりはしない。
・マーケットが少しも自分の方向に動かずに、損切りをするケースは滅多になかった。完敗したトレードのうち25〜30%で、マーケットが反転して損切りする前に、通常は3〜4ティック自分の方向に動いていたのである。
・つまり、「ノーリスクの機会」を手にしたのである。この状態の経験がどれだけ重要か、強調したとしてもしきれるものではない。
・トレードを仕切るときに、最後のティックを搾り出すことについては関心がないからである。そのような試みに何の価値もないのは、長年の経験から分かっている。
・それぞれのトレードだけに限られた狭い視野から、20トレード以上の標本の大きさで成否を判断するように、視野を広く持たなければならない。
・標本サイズは、自分の可変要素に公正で十分な検証ができるだけの大きさでなければならない。しかし同時に、自分の可変要素の効力が落ちていれば、過去の資金を失う前に、それを発見できるような小ささでなければならない。
・リスクを知っていることと、リスクを受け止めていることとは別問題である。
・なぜなら売買演習には20回分となる標本の大きさが必要であり、20回のトレードで全敗する可能性があるからだ。
・たった1,2回のトレードではない。何であろうと20回だ。その標本の大きさを満たすまで、規則の逸脱や他の無関係な要素の利用や考慮、あるいは優位性を明確にする可変要素の変更はできない。
・自分の優位性、比較的固定された勝算、その標本となる20トレードを厳格に実行する可変要素をもって演習を設定できれば、カジノ業者の経営方法とそっくりの売買システムを構築した状態になる。
・5つの根本的真実を信じ、トレードは確率のゲームであり、スロットマシーンのハンドルを引く作業と大差がないと確信していれば、この演習が難なくできると分かるだろう。
・決めたことを標本の大きさだけトレードし続けようとする意思と、トレードの確率的性質への信念は、完璧に調和する。その結果、恐怖感、抵抗感、雑念はなくなる。
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